【止められるか、俺たちを】熱い時代の、熱い人たちの、熱い魂!
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タイトル:止められるか、俺たちを
ジャンル:ノンフィクション / ドラマ
日本公開:2018年
製作国 :日本
監督  :白石和彌
出演  :門脇麦 / 井浦新(ARATA) / 山本浩司

 

あらすじ
1969年、吉積めぐみは友人からの誘いで主にピンク映画を制作していた若松孝二を中心とした映画制作「若松プロダクション」に加わることになる。
そこには映画作りに情熱をかける若者たちがいた。
若松に、無給で3年勤めれば監督にしてやると言われためぐみは次第に彼らと熱を共有していく。
自身が若松プロダクション出身の白石和彌監督が描く熱くて熱くて熱い青春群像劇。
という実話。
メタ壱スコア 3.8

映画制作に青春をかける若者たち、というまさに僕の大好きなめちゃくちゃ“熱い”映画が本作「止められるか、俺たちを」。
この作品は2012年にこの世を去った実在の映画監督・若松孝二監督を中心とした「若松プロダクション」の69年から71年を切り取った物語りです。
主人公は若松孝二監督ではなく、当時プロダクションに所属していた吉積めぐみさんという助監督をしていた女性で、彼女も実在の人物です。
それをさらに自身も「若松プロダクション」に所属していた経歴をもつ「孤狼の血」や「彼女がその名を知らない鳥たち」、「凶悪」など数々の熱を帯びた名作を作ってきた白石和彌氏が監督をしたという事で、そんなの名作になるに決まっています。

時代は1969年から71年。
この時代と言えば全共闘世代と呼ばれる若者たちが学生運動に熱を上げていました。
あさま山荘事件が起きたのが72年ですので、一つの時代が終わるその少し前の物語りです。

若松プロダクションで助監督を務めていた吉積みぐみさんはほとんど自身の作品を残していません。
監督をやりたいという気持ちがありながらも自分が何を作りたいのかわからないという彼女の目線は、この映画を観る僕の視点と重なるような気がしました。
自分の力で何かを成し遂げたいとか、何か新しい事をしたいと思いながらも、だからといって何かしたい事があるわけでもなくどうなりたいかという目標もなく悶々としたという経験は誰しもあるのではないでしょうか。
そんな僕たち観客とめぐみさんが重なる事によって、若松プロダクションという熱を帯びた世界に足を踏み入れ衝動のままに時代を駆け抜けた彼女の人生を追体験する事が出来る、そんな作品だと僕は感じました。

僕はこれまで若松孝二さんという監督も若松プロダクションというものもほとんど知りませんでした。
ですから僕は映画の中の若松監督を見てこんな凄い人がいたのか!と驚き、翻って自分自身を見返してみてその落差になんだか心の奥がソワソワとしてしまいました。
リスクを避け、安定を望み、高望みもせず、将来の事を見据える。
それなのに一方では現状に虚しさを感じ、でも今はそういう時代だからとよく分からない理屈でやり過ごす。
そんな自分の不甲斐なさに悲しくなると同時に、若松監督に対して嫉妬のようなものさえ感じてしまいます。
今の社会の事なんて、時代の事なんて本当はただの言い訳に過ぎないとわかっているからです。

そういえば僕は中学3年生の文化祭の時に短編の映画を作った事がありました。
その時の事を思い出してみると確かにあの頃の僕はただやりたい事をやるという気持ちだけで映画を作っていました。
もちろんそれは学校という囲いの中で守られた何のリスクもない子供だからこそ出来た事ではあるのですが、今からでもあの頃の自分を取り戻せるのではないかという気持ちになるのには「止められるか、俺たちを」は充分な力と勢いを持っていました。
今夜は加藤登紀子さんの「時には昔の話を」を聞きながら彼らの熱かった時代に思いを馳せながら、自分の中にまだ残っているかもしれない熱を探しながら眠ろうと思います。

 

 

■分厚いパンフレットは要チェック!

映画を観終わり、作品の面白さに満足した僕はこれだけで終わるのは勿体無い、もっと実在の彼らの事を知りたいと思いパンフレット購入の為映画館の売店へ行きました。
値札をみてみると、他の作品のパンフレットの値段が7〜800円位なのに対して「止められるか、俺たちを」のパンフレットは1000円とちょっと高めでした。
でもまぁ仕方ないと購入した実物を手に取ってみるとビックリ、なんと130ページ近くもあるパンフレットというよりほとんど本のような分厚さで、中身には貴重な情報がびっちり詰まっていました!
是非みなさんも手に取ってみてはいかがでしょうか。

そして映画を観て数日後にさらにビックリ!
パンフレットの表紙にある白石和彌監督と門脇麦さんのサイン、てっきり印刷されたものだと思い込んでいたのですが、なんと直筆サインだったようです!
ネットで他の方々のパンフレットの画像が自分のと違うのを見て初めて気付きました(笑)
ありがたやー!

 

 

 

⇩ここからネタバレ⇩

先にも書いたように、僕は若松プロダクションの事はほとんど知りませんでしたし、当然吉積めぐみさんの事も知りませんでしたし。
ですからめぐみさんが亡くなっている事も知らなかったので、映画のラストで彼女が亡くなった事に深い悲しみ、というか喪失感を覚えました。
映画の中では妊娠した彼女が睡眠薬とお酒で自殺したような描かれ方をしていました。
実際の原因は知る由もありませんが、なんとなくそんな彼女に共感する部分はあります。
若松プロダクションという熱の中で、まるでお祭りのような夢の中のような世界を情熱で突っ走ってきた彼女は、妊娠という現実を前にしてこれまでいた世界から“現実”の世界と直面する事になったのではないでしょうか。
しかし、圧倒的な速度で駆け抜けて来た彼女は上手く現実に軟着陸する事が出来ずに墜落し地面に激突してしまったのではないか、僕にはそう思えてなりませんでした。

 

まとめ

何度も言いますが、とにかく熱い本作。
井浦新さんの演技もこれまでに見た事がないもので、しかしそれは決して若松監督のただのモノマネにはなっておらず彼の演技力と表現力の底力を感じるものでした。
主演の門脇麦さんも、彼女のもつ独特な雰囲気が時代設定と役の性格にとてもマッチしていて、実物の吉積めぐみさんを知らない僕でも彼女の役は門脇さん以外には有り得ないと思う程でした。
そんな役者陣の演技力の裏打ちもあり「止められるか、俺たちを」はスクリーンからもその“力”が溢れ出すような作品に仕上がっています。
「止められねぇよ、俺たちには!」
この作品の感想を一言でまとめるとこの言葉に尽きるような気がします!

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