【こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話】鹿野さんが教えてくれた事。
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こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話
ジャンル
ノンフィクション / コメディ / ドラマ 日本公開2018年12月28日 製作国日本 上映時間120分 監督前田哲 出演大泉洋 / 高畑充希 / 三浦春馬
あらすじ
鹿野靖明、34歳。
彼は動かせるのは首から上と手を少々という介護をしてくれる人がいなければ生きていけない進行性筋ジストロフィーという難病を抱えていた。
ひょんな事からそんな鹿野の介護ボランティアをする事になった美咲だったが、あまりにもワガママな鹿野の態度にブチギレてしまう。
しかし美咲は鹿野の介護ボランティアを続けるうちに自由で、面白くて、力強い彼の生き方や考え方を知り次第に親交を深めていくのだった。
筋ジストロフィーを患った実在の人物・鹿野靖明さんと彼を支え続けたボランティアさん達の笑って泣ける感動の実話。
こんな人にオススメ!
●障がい者の方の人生を描いた作品に興味がある人。
●生き方に迷っている人。
●前向きになる作品を観たい人。

鹿野靖明×大泉洋!

©2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」製作委員会

本作の主人公・鹿野靖明さん実在の人物です。

鹿野靖明さんは1959年、札幌市生まれ。
小学6年生の頃からよく転ぶようになったそうで、それが進行性筋ジストロフィーの発症だったのだそうです。

映画ではそんな彼が34歳だった1994年頃の出来事を大泉洋さんを主演に描かれています。

この頃鹿野は病院での生活を嫌がり、実家や両親の力を借りる事なく自宅での自立的な生活を送っていました。
もちろん彼は周りのサポートなしには生活していけないのですが、その為の介護ボランティアも自ら募集をかけ集めていたそうです。
本当に強い人なんだなぁと感心してしまいます。

しかし鹿野の最大の魅力はワガママたっぷりのその人間性!

本当にワガママなんです!
ボランティアスタッフをまるで手足のように使い、彼らに対してしてもらっているという腰の低さもありません。
作品のタイトルにもあるように深夜2時にバナナを買いに行かせたりします。

初めはそんな鹿野に対してムカついてしまうんですが、不思議と次第にそんな彼の持つ人間的な魅力に惹かれていくんです。

こういうイメージ、大泉洋さんのイメージとなんだか似ていませんか?

正直、大泉洋さん以上に鹿野役に合う人はいないと思います。

鹿野靖明さんという個性的な人物を大泉洋さんというこれまた個性的な俳優さんが演じる事でこの映画の魅力が最大限に引き出されているんです。

 

 

障がいをコメディーとして描くという事。

障がい者の方を扱った映画というとシリアスなものを想像してしまいますが、この作品は基本コメディーです。

日本には障がい者の方を聖人のように扱ったり過剰に丁寧に接したりする傾向があるように思います。
もしかすると少し前の時代であれば障がい者をコメディーとして描く事を不謹慎だと言われたかもしれません。

しかし本作はとことんコメディーなんです!
もちろん泣けるシーンもあるんですが、それはお涙頂戴とはまた別物。

本作は障がい者をコメディーとして描く事で、本質的な部分で彼らが健常者と変わらないんだという事を教えてくれます。

鹿野の体は首から上と両手が少ししか動きません。
それはとても大変な事です。
しかし、体が不自由な事は障がいであってそれ以上でもそれ以下でもありません。
そして障がい者だろうが健常者だろうが人間としての本質は何も変わらないんです。

ここ数年、NHKでは「バリバラ」という障がいを持った人たちのバラエティー番組が注目されていますし、今年(2018年)目の不自由な濱田裕太郎さんというお笑い芸人さんがR-1グランプリで優勝したりして話題になりました。

彼らはハンディキャップを自分の人生にとっての重しではなく、自分の“専門分野”の武器として多くの人々を楽しませてくれます。

そういう現代において鹿野靖明さんという人物をコメディーとして描く事はまだまだ残る障がい者の方々への偏見のようなものを拭い去る上で最適な描き方だったのではないかなと思います。

 

 

自由に生きると言う事。

©2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」製作委員会

この映画のキャッチコピー「体は不自由、心は自由!」
この言葉がこの作品の本質そのものを表していると思います。

世の中の多くの人は普段の生活に何らかの不自由さを抱えているのではないかと思います。
例えば家族や友人など人間関係のしがらみだったり、お金の事だったり仕事の事だったり、選択するべき正しい将来だったり。

しかし鹿野の抱える不自由さはそれどころではありません。
なにせ体が自由に動かせず一人で食事もトイレも、まともに眠る事すら出来ないのですから。

そんな極度の不自由さに立ち向かううちに鹿野が手に入れた強さ。
それが“心の自由”なんです。

もちろん鹿野は普通の人に比べて出来る事は極端に少ないですし、健康な人が簡単に出来る事が鹿野にとっては重労働です。

でも果たして、〜が出来るという事だけが本当の自由なのでしょうか?
体は健康でも、多くの事に縛られ窮屈な日常に妥協しながら生きていく人生が自由だと言えるでしょうか。

鹿野は夢を持っています。
英検2級をとるとか、アメリカに行くとか。
恋愛にだって積極的です。

そんな鹿野の生き方は僕に、本当の自由とは物理的に何が出来るという事ではなく、自分の人生を自分の意思で選択し何かを諦める事なく堂々と自分の道を歩いてゆく事なのだと教えてくれました。

そういう強さを持っているという事が鹿野という人間の魅力の根底にあるのだと思います。

 

メタ壱スコア:3.7

題材とは裏腹にユーモアと笑いに溢れた本作。

ちょっと涙ぐむようなシーンがあっても、「この作品は泣きながら観るような作品じゃないよ!」と言わんばかりにすかさず笑いに持っていってくれます。

予告を観るとわかるように本作は、障がい者というテーマを重くてシリアスな雰囲気をまるで出さず、ライトでポップなものとして描いています。

しかし、鹿野さんの人生はこんなに楽しくて愉快な事ばかりではなかったはずです。
映画では描かれていない苦しみや痛みが沢山あったのだと思います。

しかし、そんな痛みや苦しみはどうでもよくて、この愉快で楽しい出来事が僕の人生にとって一番大事な事なんだ!
そんな鹿野靖明さんの想いが形になった作品のように僕には感じられました。

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