【希望の灯り】時代の変化に置き去りにされた人たちのそれぞれの希望とは。
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東西が再統一した現代のドイツ。大型スーパーの在庫管理の見習いになった不器用で寡黙な青年・クリスティアンを中心とした人間ドラマ。

主人公同様、とても無口な作品。
窓もないスーパーのバックヤード。
退社する頃には日が沈んでいて職員達は一日のうち日光に当たる時間がとても短い。

それはまるで、彼らが再統一に戸惑い新しい世界になかなか馴染めずにいる世の中から取り残された存在だという事を如実に表しているようでした。

だけど、まるで海の底のような閉ざされた静かなその世界は彼らにとって安らげる場所なのかもしれないし、お互いの事を詳しくは知らない者同士が形成する疑似家族的なコミュニティは彼らにとっての居場所になっていたのだと思います。

そして淡々と描かれるそこで生きる彼らが抱えるそれぞれの問題や葛藤がとても繊細に表現されていて、先の見えない人生の中でそれでも目の前の小さな希望の灯りを大切にしながら生きている彼らの姿には美しさや愛おしさを感じました。

そんな彼らを見ているうちに、まるで映画を観ている自分もそこにいる一員になったような気持ちになるから不思議です。

また、とてと言葉数の少ない映画なので、映画を観た人それぞれが違う感じ方をする作品なのではないかと思います。

ある人にはラブストーリー、ある人にはクリスティアンの成長の物語、ある人には今のドイツが抱える問題を描いた社会的な作品。

だからこの映画は観終わった後に他の人とどう感じたかを語り合いたくなる作品だと思ったし、多くの人の感想を聞く事で作品のテーマがより深まり完成されていく味わいのある本作を、僕はとても好きになりました。

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